さてさて、そろそろ何か始めないとな

さいたま市のソフトウェアエンジニアのブログ

PMBOK第7版 原理・原則⑤|システムの相互作用を認識し、評価し、対応すること

📌 はじめに

プロジェクトで発生する問題の多くは、単一の原因によって起きているように見えます。

  • スケジュールが遅れている
  • 品質が安定しない
  • 要求変更が止まらない
  • チームの負荷が高い

しかし実際には、それらは一つの要素だけで発生しているわけではありません。

PMBOK第7版の原理・原則⑤「システム思考」は、プロジェクトを構成する要素同士の関係性に着目することを求めています。


プロジェクトは独立して存在していない

プロジェクトは単体で完結する活動ではありません。

組織、他プロジェクト、外部サプライヤー、運用環境、市場状況など、多くの要素と関係を持ちながら進行します。

ある判断が別の領域へ影響を与え、その影響が再びプロジェクトへ戻ってくることもあります。

つまり、プロジェクトは複数の要素が相互に影響し合う環境の中に存在しています。


問題は「要素」ではなく「関係」から生まれる

プロジェクト管理では、問題の原因を特定しようとして個別要素を改善することがあります。

しかし、次のような状況は珍しくありません。

  • 日程短縮が品質低下を招く
  • 品質強化が開発負荷を増加させる
  • 負荷増大が意思決定速度を低下させる

ここで起きているのは、個別要素の問題ではなく、要素間の相互作用です。

局所的な最適化が、別の領域で新たな問題を生み出すことがあります。

システム思考では、この関係性そのものを観察対象とします。


相互作用を認識する

最初のステップは、依存関係の存在を理解することです。

たとえば、複数のプロジェクトが共通部品を必要とする場合、それぞれの計画は独立して成立しません。

日程調整、品質基準、要求内容は互いに影響し合います。

個別プロジェクトだけを見て判断すると、全体として非効率な結果になる可能性があります。


相互作用を評価する

相互作用を認識した後は、その影響を評価します。

影響は直接的なものだけではありません。

  • 意思決定の遅延
  • 責任範囲の不明確化
  • 外部依存によるリスク増加
  • 将来の保守負荷

短期的に合理的な判断が、長期的な負担を増やす場合もあります。

システム思考では、時間的な影響も含めて判断します。


相互作用に対応する

理解と評価の目的は、単に状況を説明することではありません。

必要に応じて行動を調整します。

たとえば、外部サプライヤーで既に利用可能なモジュールが存在する場合、新規開発を継続することが最適とは限りません。

プロジェクトの境界を見直し、既存資産を活用する判断も、相互作用への対応の一つです。

ここで重要なのは、計画を守ることではなく、環境との関係を踏まえた意思決定です。

別のケースとして、システムに必要なモジュールを新規に研究開発するプロジェクトを考えてみます。

開発を進める中で、外部サプライヤーにおいて既に同等機能を持つモジュールが実用段階にあり、利用可能であることが判明する場合があります。

このとき、当初計画どおりに研究開発を継続することが最適とは限りません。

外部環境との関係性を再評価した結果、新規開発を中断し、既存モジュールの活用へ方針を変更する判断が合理的となることがあります。

これは計画変更ではなく、システム間の相互作用を認識し、その影響を評価したうえで対応した例と言えます。


システム思考とは「全体を見る」ことではない

システム思考は、単に視野を広げることを意味しません。

要素同士がどのように影響し合い、結果を生み出しているかを理解することです。

問題を分解するだけではなく、関係性を通じて再構成する視点と言えます。


システム思考が求める姿勢

プロジェクトにおける判断は、単独では成立しません。

次の問いを持つことが、システム思考の実践につながります。

  • この判断は他にどんな影響を与えるか?
  • 別の活動との依存関係は存在するか?
  • 短期最適が長期的な問題を生まないか?

プロジェクトを取り巻く相互作用を継続的に観察し、必要に応じて調整する。

それがPMBOK第7版におけるシステム思考です。

 

▶ 次回:PMBOK第7版 原理・原則⑥|リーダーシップを示すこと


12の原理・原則全体を整理したい方へ

本記事は、PMBOK第7版 第3章「12の原理・原則」の一部です。

原理・原則全体の構造や読み方については、以下のまとめ記事で整理しています。

PMBOK第7版 第3章|12の原理・原則をどう読むべきか


📚 参考

  • PMI『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOK®ガイド)第7版』

※本記事はPMBOKガイド第7版の学習・実践促進を目的とした解説記事です。引用・要約は学習目的の範囲で行っています。


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PMBOK第7版の原理・原則を継続して学ぶ方は、シリーズ記事とあわせて書籍も参照すると理解が定着しやすくなります。

用語の確認や、原文のニュアンスを追いたい方は以下にリンクを置いておきます。

参考書籍:PMBOKガイド第7版(Amazon)