
📌 はじめに
PMBOK第7版では、プロジェクトマネジメントを支える12の原理・原則が示されています。
前回は、最初に記載されている「良いスチュワードであること」についての説明をしました。
今回は、原理・原則② 「協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること」です。
協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること
PMBOKには、「プロジェクトは、プロジェクト・チームによって実行されます。」と一見あたりまえのことが記載されています。
当然ですよね。
では、プロジェクト・チームとは何か?
本来あるべき「プロジェクト・チーム」とは
組織構造
プロジェクト・チームは、組織構造的にプロジェクトの作業に関連付けて、チームや人を割り当てて形成されます。
組織構造的にというのは、誰が(どのチームが)何を担当しているのかわかるようになっていることです。これは必ず一度決めたら変えないのではなくて、プロジェクトの状況によって変わっていくことがあります。
チームの合意
組織構造的にチームを作るだけではなくて、そのチームの中でのルールも作る必要があります。そのルールがチームの中で合意されていなければなりません。作っただけでは意味がありません。こちらも先ほどの組織構造と同様に、プロジェクトの進行にあわせてあらたなルールを形成し、合意していくことを繰り返しながら発展させていくことになります。
プロジェクト・チーム環境を構築する際に起きる問題
現実には、プロジェクト・チームが十分に機能していないプロジェクトも少なくありません。
- 誰が最終的な承認をするのか、決済するのか決まっていない。
- 責任の所在が不明。
- チーム、個人の作業範囲が不明確
組織構造が明確になっていなかったり、チームの合意ができていなかったり、知らないところで変わってしまっていたら大変なことになります。
「プロジェクトは、プロジェクト・チームによって実行されます。」ができていないのも同じです。
形式上は管理されているようで、実はできていない。
「プロジェクト・チーム環境を構築」するにあたって決めなければならないことは沢山あります。タスクに関連した権限、説明責任、実行責任などもその一つです。その決め方も様々です。チームのスタッフの構成によっては、他にも決めておかないといけないことが増えてきます。
プロジェクト構築時に毎回全部決めていたらキリがありませんので、一般的には複数のプロジェクトで利用可能な社内の標準ルールなどを構築し、徐々に改版しながら改善していく運用とするのが一般的です。
「協働的」とは「仲が良いこと」ではない
PMBOKがいう「協働的」とは、単に雰囲気が良い状態を指しているのではありません。
- 目的共有
- 相互作用
- 相互依存
- 能動的連携
プロジェクトは、異なる立場や文化を持つ人々が、互いを尊重しながら、
共通の目標に向かって自律的に行動できる状態です。
プロジェクト・チームには、専門分野の違い、経験の違い、組織的背景の違いがあります。
異なる視点を合わせ持つことで、プロジェクト環境を改良できる
と記載されています。ここも皆さん想像できる内容と思います。
皆が同じルールに従えるとは限らない
プロジェクトに様々な異なる視点をあわせ持つことは、メリットばかりではありません。
- 働き方(就業時間、契約)の違い
- 文化の違い
- 各部門のローカルルールや慣習も存在
- 国ごとに異なる法規
- 環境破壊となるおそれ
様々な要因で、標準ルールに従えないケースがあります。
また、プロジェクトの状況によっても、従来の標準ルールを適用できないケースが発生する場合もあります。
それらを前提にしないまま「標準通りに進める」だけでは、摩擦は避けられません。
- 日程は共有されているが、目的は共有されていない。
- ルールは守られているが、納得はされていない。
- 進捗は報告されているが、本音は語られていない。
ルールの改定等を常に行いながら、チーム全体が最善となる効果を出せるようにしていくことが重要になります。
これによって、得られる様々な効果についても、PMBOKの中で記載されています。
また、状況に応じ、限定的に個別のルールをプロジェクト毎に調整して、効果を得るために行うことを「テーラリング」と言います。
この「テーラリング」については、別の章で解説があるので、ここでは省略します。
まとめ
開発チームごとのベネフィットを最大に得るために工夫しながら「協働的」となるようにプロジェクトチームを構築していくことが、プロジェクトを成功に導きます。
もし現在のプロジェクトで、
- 誰が意思決定しているのか分からない
- ルールはあるが納得されていない
と感じる場面がある場合、それは協働的なチーム環境が十分に構築されていない兆候かもしれません。
本内容を踏まえて、実際のPMBOK第7版の3.2 「協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること」を読んでみてください。プロジェクトの改善につながるヒントが得られるかもしれません。
▶ 次回:PMBOK第7版 原理・原則③|ステークホルダーと効果的に関わること
12の原理・原則全体を整理したい方へ
本記事は、PMBOK第7版 第3章「12の原理・原則」の一部です。
原理・原則全体の構造や読み方については、以下のまとめ記事で整理しています。
▶ PMBOK第7版 第3章|12の原理・原則をどう読むべきか
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